鍵盤が象牙の古いピアノが家にあります。高く買い取ってもらえますか?

自宅に古いピアノが眠っているのですが、鍵盤が象牙で出来ています。
象牙って高い素材だと想うのですが、このピアノは高く売れますか?それとも普通のピアノと同じくらいの価値しか無いのでしょうか?
十年以上引いていないため、調律やメンテナンスはずっとしていない状態です。
象牙でできた鍵盤のピアノということは、20-30年ほど前の古いピアノ・もしくは演奏用ではなく鑑賞用やオブジェとしてのピアノということでしょうか。
結論からお伝えすると、残念ながら鍵盤が象牙だからといって買取価格が高くなることはほとんどありません。

鍵盤が象牙のピアノってどういうこと?
ピアノの鍵盤には白鍵盤と黒鍵盤の二種類が有るのですが、このうち、白い鍵盤の表面に象牙を貼った鍵盤の事を指します。
1989年のワシントン条約で象牙の輸入が禁止されたこと、コストダウンのため、現在のピアノでは象牙ではなくアクリルやファインアイボリー(人工象牙)を使用されていることが多いです。
ピアノの買取価格の決まり方
ピアノの買取価格は基本的にはメーカーやモデル、製造年などで決定されます。
- ピアノの種類(グランドピアノ、アップライトピアノ等)
- モデル(メーカー、型番、製造番号)
- 製造年(製造番号から調べられます)
- 保存状態(キズや不具合の有無・メンテナンス状態等)
この中でもまず一番重要なのが、ピアノのメーカーです。
日本国内においてはヤマハとカワイ人気が圧倒的で、これ以外の無名メーカーの場合はほとんど買取価格がつかない場合が多いです。(スタインウェイ等の有名海外メーカーは除く)
次に、ペダルの本数です。アップライトピアノの場合2本ペダルと3本ペダルの機種がありますが、ペダルが2本のピアノはまず買取価格がつかない場合が多いです。
あとはモデルごとに人気のピアノ、そうでないピアノ、等が分かれますので、相場に合わせて買取価格が決定されます。
「大正時代のピアノ」など演奏用としてではなく骨董品としての価値がある場合ももちろんあるのですが、基本的には演奏用として買い取られますので、鍵盤が象牙だからといって価値が大きく変わるということはあまりありません。
象牙って貴重なんでしょ?
「象牙は貴重な素材だから価値があるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ピアノは良い音で演奏してこその楽器です。
ギター等でもよく言われるに「古い楽器は良い木材をふんだんに使っているので音がいい」とか「木材が乾燥していい枯れ具合でいい音が出る」など、木材による音の違いは確かにあるのですが、鍵盤の素材が象牙だからといっていい音がでるとは限りません。
新品ピアノや高級ピアノなら象牙の鍵盤も価値が有るかもしれませんが、中古市場では「とにかく安くピアノが欲しい」や「安くて音のいいピアノが欲しい」というニーズがほとんどですので、現状は音の影響のあまりない象牙の鍵盤は人気があるわけでない、ということになります。
象牙の値段が高騰している?
象牙が輸入禁止になったことで「象牙の価値が高騰している」のはもちろん間違いないです。
ただ、象牙は年数が経つと黄ばんでしまったり茶色く変色してしまうため、再利用する際には漂白などの手間が必要となります。

黄ばんでしまった象牙の鍵盤 Photo By livedoor.jp
さらに、鍵盤が象牙だと言っても、鍵盤全てが象牙でできているわけではなく、白い鍵盤の一番表面の部分にだけ使用されているため、象牙の質量はそんない多くありませんし、鍵盤以外への再利用は難しいため、なかなか再利用がしづらいのです。
象牙としての価値を見出すなら、素材として買取店に持ち込むことになると思います。ただその場合、鍵盤の無くなったピアノ自体は処分することになりますので、別途処分費用がかかります。差し引きするとどれくらい手元に残るかは難しいところです。