ピアノの鍵盤数はなぜ88鍵なの?その答えは人間の聴力にあった!

どうしてピアノの鍵盤の数は88鍵なのでしょうか?
キーボード等の場合は、
- 25鍵
- 32鍵
- 37鍵
- 46鍵
- 61鍵
- 88鍵
などいろいろな鍵盤数の種類があります。
でもピアノの場合はアップライトピアノ・グランドピアノ、共に88鍵になっています。
どうしてもっと少ない鍵盤のピアノは無いのでしょうか?
そして、なぜ88鍵以上の鍵盤数のピアノが無いのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
ピアノの鍵盤数が88鍵なのには理由があります。
確かに、DTM用のMIDIキーボードは88鍵よりも少ない鍵盤数のキーボードが存在します。
これは、DTMの場合は、鍵盤のみで演奏することは少なく、多重録音をしたり、スイッチでオクターブを変更することができるから、です。
しかし、ピアノの場合は、ピアノだけでの演奏で完結することが多いですよね。
(オーケストラや多重奏の場合ももちろんありますが)
そうなると、鍵盤数が足りないと、弾ける音階数が少なくなるため、表現力が低下してしまうのです。
そういった理由で、少ない鍵盤数のピアノはほぼ存在しない、ということになります。
では、逆にもっと鍵盤数の多いピアノはなぜ存在しないのでしょうか?
それは、シンプルに答えると「人間に聞こえる周波数が88鍵程度の音階が限界」だからです。

ピアノの鍵盤数が88鍵以上にならない理由、人間に聞こえる周波数の限界
先程お伝えしたとおり、ピアノの鍵盤数が88鍵なのには、人間の聴力が関係しています。
人間の耳で聞こえる音の周波数は約20Hz(ヘルツ)から2万Hz程度と言われています。
聞こえると言っても、ノイズとして聞こえる周波数の範囲もあります。
人間に音階として聞こえる範囲は、せいぜい20Hzから4,000Hzまで、と言われています。
88鍵のピアノの音階は7オクターブ+1/4で、
周波数でいうと、27.5Hzから4,186Hzとなります。
ちょうど、人間が音階として聞き取れる範囲の周波数とちょうど重なるのが分かります。
これ以上低い音を出しても、ゴロゴロとした唸りのように聞こえますし、
逆に高い音をだしてもキーンという耳障りなノイズに聞こえてしまいます。
もちろん、音階としては認識できなくても、豊かな響きとして聞こえるケースはありますので、
完全に聞こえないかというとそういうわけではありません。
さらに聞こえる周波数帯は人によって様々ですので、20Hzから4,000Hzよりも広い音階を聞こえる人も当然居ます。
そういったニーズに答えるために、
実は海外のピアノメーカーの「ベーゼンドルファー」等では特注で97鍵盤のピアノを製造しています。
(ベーゼンドルファー・インペリアル)
しかし、これらの特注のピアノでも、鍵盤の響きを豊かにするのが目的で、実際には増えた分の鍵盤を弾くことはほとんどありません。
ベーゼンドルファー・インペリアルの増えた低音の鍵盤は間違えて引いてしまわないように、黒く塗りつぶされています。これらの鍵盤は基本的に弾くことは殆どないことがわかると思います。
ピアノの譜面にも88鍵以上の音階が必要な曲は基本的にありませんし、88鍵盤以上のピアノを製造する理由は殆どないといえます。
それで、完成したのが、現在の白鍵盤が52鍵、黒鍵盤が36鍵の合計88鍵という形がスタンダードになりました。
これが、ピアノの鍵盤数が88鍵しかない理由なのです。
ピアノが発明された時は実は54鍵しか無かった
ピアノという楽器は、1709年にイタリアのクリストフォリによって発明されました。
実は、ピアノのもととなった「ダルシマー」という中近東からヨーロッパに伝わった楽器も有ります。
また、クラヴィコード・チェンバロと発展し、最終的にピアノが誕生することになります。
この最初のピアノは「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と呼ばれ、音の強弱を表現できる楽器として、とても画期的な発明でした。
クリストフォリによってピアノが発明されたその当時は、なんとピアノの鍵盤数54鍵しか無かったのです。
しかし、表現力をどんどんと必要とするピアノ演奏家が増えたことで、
どんどん鍵盤数が増えて、音域を拡大することになります。
そうして、現在の88鍵となりました。
初心者に必要な最低限の鍵盤数は?
初心者が電子ピアノ等でピアノの練習する時に、最低限必要な鍵盤数はどれくらいでしょうか?
実際、低音弦と高音弦は、初心者用の楽曲の譜面ではほとんど使うことはありません。
そういうことを考えると、初心者には76鍵の電子ピアノでも十分なことがほとんどです。
部屋が狭いなどの事情でもっとコンパクトなものを、ということでしたら、
54鍵程度であれば、一通りの曲は弾けると思います。
ですが、ピアノの腕前が上がって曲の難易度が上がるに連れ、やはり鍵盤数には不満が出るかと思います。
なので、やはり88鍵のフルサイズの鍵盤数を持ったピアノを最初から選ぶことをおすすめします。